アメリカ発:Que Será, Será

Whatever Will Be, Will Be. 人生なるようになる。これでいいのだ。

アメリカで人生初の胃カメラは、病院の神対応で無事終えました

はじめに・・・ありがとうございました。

前回は、私の人生で経験した別れとトラウマを沢山書き出してしまいました。世の中には苦しみを背負った方々が大勢いらっしゃるのに、それには比べ物にならないであろう私の心の中に渦巻く恐怖心を吐き出したりして、それにお付き合いくださった方、本当にありがとうございます。投稿を書いた後、少し心の整理が出来ました。

 

アメリカで人生はじめての胃カメラ体験を明日に控えた心境 - アメリカ発:Que Será, Será

病院へ着くまでに緊張マックス!

検査当日の午前12時から絶食。リキッドダイエットのみ可能で、水、クリアスープ、スプライトや7アップ、ゼリー、コーヒー紅茶(砂糖可)、グミやハードキャンディーは検査の3時間前まで食べることが出来た。ソーダやグミとは、いかにもアメリカン。

 

夫の運転で余裕を持って家を出て、20分程で着いた場所はメディカルビルディング。普通のビルの中に専門医が幾つも入っていて、大病院のように大きく構えていないし、個人経営のようなアットホームな感じでもなく閑散としている。

 

先生のオフィスに着くと受付の男性が一人。誰もいない待合室で、心に集中して不安を少しでも取り除く努力をした。昨夜は絶食前で食べすぎたからか、朝から珍しく胃がチクチクする事があって、もしかして胃に異常が見つかるかも知れないとか、脳内に作り出された真っ暗闇のネガティブトンネルは深くなるばかり。

 

麻酔話に花が咲く

名前を呼ばれて中に入り、案内された個室手洗いに入ると、ガウンと靴下が用意されていた。シャツだけ脱いで下着はつけたまま、ガウンの背が開くように着る。靴下は滑り止め付きで、検査後にフラフラしても転ばないようにするための配慮かな。

 

着替えてカーテンで仕切られたスペースのベッドに横たわると、カーテン越しに患者さんが寝ているのが見えた。私もあんな風に寝るのかな、と考えているうちに、さっきと違う看護師さんが検査前のチェックに来てくれた。カラフルなヘアキャップからちらりと見える髪の色は、薄ピンクで可愛い(以下ピンクさん)。

 

ピンクさんは対応がドライで、私の不安を知ったら面倒だと思うのではないかと思っていた。質問に答えながら、麻酔が怖い事やパニックの事、最近の薬疹の事を事細かに説明していると、彼女の態度は一転してフレンドリーになった。「今日の薬は大丈夫。私もここで3回胃カメラしたけど、スッと寝れてスッと起きれるの。家にこの薬持って帰りたい位。あなたもきっとそう思うわ!」と言う感じで、気づくと一緒になって笑っていた。副作用はどんな薬にもあるけど、これは深く寝ている所起きる事で疲労が出るから、検査後はしっかり休むよう言われた。検査中は麻酔科の先生がつきっきりで、酸素とバイタルチェックをしてくれるそう。胃カメラの検査なのにすごいことになってる!

 

それから暫くピンクさんと話していたら緊張も解けてきたけど、どうしても最後の不安の欠片が引っ掛かったまま。

 

そこへ、麻酔科の先生が顔を見せにきてくれ、会話を交わした。

 

「具体的にどんな事が心配?」

 

「うーん、起きないんじゃないかとか?副作用とか。」

 

「大丈夫。この麻酔は検査用で、赤ちゃんにも使えるわ。検査は10分程度だし、直ぐに目が覚める。ここに来るのは70代か80代が多いけど、彼らも全く問題ないし、あなたはまだ若くて健康だから尚更大丈夫。私はこの仕事を20年しているけど、麻酔事故は見た事ないわ。安心して。」

 

確かに、80代からしたら私はまだ若いけど・・・こちらのじっちゃんばっちゃんって、日曜日の教会の後にデカ盛りパンケーキにバターとメープルシロップをたっぷり、サイドにはハッシュブラウンと卵とベーコンをペロリと食べちゃう胃腸の元気な方も多いし、私よりよっぽどバイタリティーに溢れている。見ているとこちらが元気になってくるような、エネルギーに溢れる方を過去に沢山見てきた。

 

それにしても、胃カメラや大腸カメラを受けるこの施設の平均年齢が高くて驚く。

日本はピロリ菌感染者や胃がんのケースも多いし、検査も積極的にしてくれるので、その違いは大きいのでしょう。勿論、医療費の差も!

アメリカで精密検査を受けるには、クリニックに行って診断してもらい、専門医の情報を貰い連絡する所からはじまる。その時点で紹介状が届いていない場合もw耳鼻科に行くことすらハードルが高いので、蓄膿症だとか副鼻腔炎だとかで直接耳鼻科に行くことは出来ない。

胃カメラなどは、保険でカバーされても数百ドルはかかるし、保険がなかったら何千ドルの世界。日本だったら、人間ドックに行って一通り検査が出来る。保険料はカバレッジが良い物は当然だが、一般的にも高く、保険を持てない方が大勢いる。アメリカの医療問題は根深い。

 

話は大きくそれてしまったけれど、看護師さんとの会話は私にとっての大きな救いだった。「赤ちゃんにも使用できる」と聞いて恐怖が薄らいだ頃、ストレッチャーに乗せられたまま検査室へ。

 

あっという間に目が覚める

手術室のような検査室のど真ん中にストレッチャーは置かれた。口にカメラを通すためのマウスピースを入れられた後、酸素マスクもつける。左側を向いて横になると、麻酔科の先生が「少しガスを出すね。皆んな効き具合が違うからチェックするわよ。」と言って作業が始まる。名前を答えるのに呂律が回らなくて、壁に掛かっている時計を確認しようと目を向けても目線が追いつかない。誕生日を聞かれて答えた後、記憶がなくなった。

 

目が覚めると、さっきと違う場所にいた。どれだけの間眠っていたんだろう。看護師さんに「アップルジュースと水どちらにする?」と聞かれて、アップルジュースと答えると「先生が来る前に持ってくるわね。」と言って去って行った。お腹が空いていたのでジュースを心待ちにしていると、先生が入ってきた。

 

胃は綺麗だったと聞き、私は安心すると共に拍子抜けした。「胃潰瘍もないんですか?」と聞くと「胃潰瘍も何もなかった」と返ってきた。ここ数ヶ月の胃もたれや、心因性嘔吐で何時間も吐き続けたりしたのに、やっぱり脳の信号のせい?ピロリ菌は1週間位で分かるけど、陽性だったとしても、今度は違う薬で薬疹が出ないようにするから大丈夫だよ、と教えてくれた。勿論、陰性である事が一番の良いのだけど。

 

ポジティブな経験として伝えたい

目が覚めて直ぐに何か質問があるか聞かれたので、この後直ぐに飲食をして良いか尋ねると、アルコール以外は何でも良いと返ってきた。コーヒーも大丈夫らしい。

 

帰りは看護師さんが玄関まで来てくれた。彼女が「どうだった?楽だったでしょ?」と聞いてくるので「凄く楽で驚いたわ。日本だと胃カメラは大変だと聞くし、麻酔で眠らない所も多いみたい。」と言うと、信じられないと言う様子で「眠らないで胃カメラなんて絶対嫌。無理無理!」と笑っていた。

不安を解消してもらえて本当に有り難かったとお礼を伝え、迎えの車へ戻った。後日、サービスはどうだったかアンケートが来たので、その時にも「今まで見てきた病院のクルーの中で最高だった!」とまたもやお礼を書いた。感謝をどれだけ伝えても伝えきれない程のサポートを頂いた。

 

検査の帰りは、5ヶ月ぶりにスタバへ寄った。今はドライブスルーオンリー。勇気も機会もなかったので行っていなかったけど、久々のラテは美味しい。

 

検査前に読んだブログ等の麻酔に関する情報は、ネガティブな物が多く恐ろしい副作用を覚悟していた。幸い、私は目が覚めてからの事は全て覚えていて、その日は軽い頭痛と疲労感があったけれど、吐いたり酷い眠気とは縁なく一日を終えた。次の日は少し頭が重かったものの、午後には消えてなくなった。喉は少しカリカリとした違和感を感じたが、説明書に書いてあった通り、2日後には消えていた。

 

記憶はあるとはいえ判断力が鈍っているので、車の運転や仕事すら出来ない。大事な契約や約束事は後で後悔するのでやめましょう笑。エスコートは必須。病院側から情報を求められ、検査が終わると電話で連絡を取ってくれます。

 

そう言えば、検査後に頼んだアップルジュースは飲む事なく帰ってきた。記憶はあるのに、それに気づいたのはその日寝る前笑。目が覚めてから会話は出来るけれども、いつもよりも忘れ易いかも知れない。或いは、一生懸命覚えておこうと意識しないと、ふと忘れてしまう。

 

もう一つMRIの検査があるけれど、そちらも無事済みますように。